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しろいはなび

twitterでは手狭に感じてきたのでブログを始めてみました。

風俗で働いたら人生変わったwww 水嶋かおりん

ここのところ風俗業界を今までとは違う捉え方で書き記す本がたくさん出版されている。荻上チキの『夜の経済学』『彼女たちの売春』など、これまでよりもより観察者的な眼差しで風俗業界に光を当てる本が多い。涙を誘うような情緒的な内容ではなく、数字や統計学の手法を使って本当のところはどうなっているのか、ということが書かれるようになってきた。そのことによってより実際的な問題点がやっと見えてくるようになったと思う。(日本において風俗業界というのは伝統芸能の演目になりやすいなど日本人の心を掴む何かがあると思う。最近だと千と千尋の神隠しなんてのもそうであろう)

水嶋かおりんの前作にあたる『私は風俗嬢講師』では、彼女の生きてきた半生が主な主題だった。そこに描かれる様子はわたしにとっては想像を超えた貧困、虐待、DVというような、影のある人生が描かれていて、それはそれで興味深く読んだのだけれど、わたしにとってそれはいささか90年代的過ぎたし、そのようなことは他の本でもたくさん読んでいた。

今作では、風俗嬢を社会学的な視点やジェンダーの視点からあぶり出している。この考察は著者が実際に足を運び文字通り体当たりで得られた知見が披露されており、とても興味深い。
風俗嬢の確定申告について(彼女たちは未納であることが多い)踏み込んでいたり、風俗営業法で店舗型風俗店が一掃され、無店舗型の風俗店が主流になって起きた現状などにも触れられている。ほかにも風俗業界の低価格化、風俗業界が女性の福祉を担っている面があることなどこの一冊で風俗業界が抱える問題点と論点がおおよそ網羅できるようになっている。
後半ではこれから風俗業界で働こうとしている女性に向けたアドバイスや立ち回り方が一通り書かれていて、これがとても興味を引く内容となっていた。これほど実際的に使えるハンドブックはこれまで無かったのではないか、と思う。


それだけに、校正をもっとしっかりして欲しかったと思う。コア新書を手に取ったのはこれが始めてなので編集をどの程度やっているものなのか分からないが、読み進めながらこれは編集との間に何かのトラブルが発生したのではないかと思われるほど校正がされていない。誤字やタイプミスが散見されるし、通例ではひらがなにされる言葉でも漢字になっている箇所があったり、全体的に読みづらい。
もっとも気になった点は、語の定義を明らかにするために辞典を参照する描写が複数カ所があるがそのソースをwikipediaに頼っていたのは、学生のレポート課題ですらwikipedeiaからの引用を不可とされている現状と照らし合わせるまでもなくマズい。

とても良い内容であるだけにもっと時間をかけてブラッシュアップしてから出版しても良かったのではないかと思い、それだけが残念であった。


個人的に興味をひいた話題について。
わたしがとても興味をひいたのは水嶋かおりんフェミニズムの研究会のメーリングリストの登録を風俗嬢であることを理由に拒否されたというものだった。彼女の分析ではフェミニストは「女性性を売りにすること嫌悪」しているようだ。これはとりわけサイバーフェミニズムが抱える大きな問題点であろう。彼女は女性には女性の戦い方があるので、これまでの男女のパワーゲームに巻き込まれず新たな戦い方をするべきだと説いているのだが、わたしもこの立場に賛成する。

 

風俗で働いたら人生変わったwww (コア新書)

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